本研究の目的は、わが国の青少年の非行的態度に影響する要因について検討することによって、非行を抑制する要因を明らかにする、そして、これによって非行を抑制するためにはどのような心的機能を育成するべきかを明らかにすることである。 われわれは最近の研究によって、非行を許容する意識と最も関係の深い要因は良い悪いという道徳意識よりも、恥意識、それも他者の目を意識した恥意識ではないかと考えるに至った。そして、このような恥意識が、わが国青少年の非行を抑止する要因ではないか考えている。 以上の目的のため、日本とトルコの中学生、高校生、大学生、と親を対象に、恥意識について調査を行い、日本とトルコの比較をすることを企画した。 以上のうち、一部はこれまでの研究成果を割り当てることとし、18年度は、日本とトルコの大学生の調査を行った。また、トルコの研究者からの聞き取り調査を行った。 結果は、非行的態度の抑制因は価値観や道徳意識などの、いわゆる認知的なものではなく、むしろ情緒的と言いうる、恥意識が重要であるというものであった。 研究成果については、一部、学会、紀要論文、著書で公にしているが、なお、分析を行っているところである。
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