がん患者の心理的ストレスとその心理社会的リスク要因を同定することを目的に、以下の研究を実施・分析し、学会などで発表を行った。 (1)がん患者の不安尺度作成に向け、がん患者が初診時、検査、告知後、手術後、退院後の治療といったそれぞれの時期ごとにどのような不安を感じているか、面接調査によって不安内容を具体的に把握する面接調査を行っており、現在30名以上のデータを収集した。そのなかで、がん患者はがんであるか否か告知されていない初診時の段階から、さまざまな心理的苦痛を感じている、告知後のみならず、初診時の段階から、病気、治療、経済的、家族に対する不安を抱くなど、さまざまな心理的ストレスを感じていた(日本サイコオンコロジー学会、日本心理学会、日本総合病院医学会において発表) (2)がん患者の心理的ストレスについて、不安特性、神経症傾向、ストレス対処スタイル、ストレスの強さとその内容から、これらの関連性について調べた結果、がん確定診断前後の患者の心理的ストレスは特性不安の高さが関与しており、さらに間接的にはストレライフイベントの否定的認知とも関連していることが示唆された(日本サイコオンコロジー学会、日本乳がん学会、日本心理学会において発表。) (3)緩和ケア病棟への転院をできるだけ円滑に行うことを目的にまずは、緩和ケア病棟で勤務する看護師のストレスについて調査した。その結果、バーンアウト状態の高い人、および緩和ケア病棟勤務を希望していない人は心理的ストレスが高いことがわかった(日本産業精神保健学会で発表)。 なお、これらの内容の一部を「緩和医療学」でまとめた。
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