研究概要 |
高校生を対象とした体系的なストレスマネジメント教育プログラムを開発するための基礎的データを得るために,高校生のストレスマネジメント教育に対するニーズを調査することを目的とした。さらに,そのニーズと高校生のストレッサーの経験頻度,ストレスコーピングおよびストレス反応との関連性についても検討した。 ストレスマネジメント教育の内容として特に学びたいという高校生の割合が高かったものは,「ストレスの解消法」「リラックスの仕方」「気分が沈んだ時の対処法」などであった。このように,高校生はストレス状態にある時のコーピングの仕方をよく知らないか,あるいは現在用いているコーピングではストレスをうまく解決できていないという自信のなさを反映しているのではないかと考えられる。 ストレスマネジメント教育に対するニーズとメンタルヘルスとの関連性について検討するために,ストレスマネジメント教育のニーズに関する質問の得点に基づいて,分析対象者を高ニーズ群と低ニーズ群とに分類した。 ストレッサーの経験頻度の得点については,「友人関係場面」と「学業」場面の両方において,高ニーズ群の方が有意に高かった。 また,コーピングについては,友人関係と学業の両ストレス場面において,高ニーズ群の方が「努力」「被支持」「気晴らし」の得点が有意に高かった。 ストレス反応については,全ての下位尺度において,高ニーズ群の得点が有意に高かった。 以上の結果から,ストレスマネジメント教育に関して高いニーズを持っている高校生は,ニーズが低い高校生よりも,ストレッサーの経験頻度が高く,「努力」「被支持」「気晴らし」のコーピングを多く用いているものの,ストレス反応が高いことが示された。すなわち,ストレスに苦しんでいる高校生は,さまざまなコーピングを用いているものの,容易にはストレスを軽減することができずに,より効果的なストレスマネジメント法を求めており,しかもそのような高校生の数は決して少なくないと考えられる。そのような高校生のニーズを踏まえ,それに応えることのできるようなストレスマネジメント・プログラムを開発する必要がある。
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