研究概要 |
前年度に行った,高校生および高校教師のストレスマネジメント教育に対する知識やニーズに関する調査結果,および高校生のその知識やニーズとストレッサーの経験頻度,ストレスコーピングおよびストレス反応との関連性に関する以下のような調査結果を論文として公表した。(1)生徒も教師もストレスに関する基本的な知識はある程度備えていること,(2)心理教育プログラムに対するニーズは生徒,教師ともに非常に高く,特にストレスをコントロールするための方法を身につけたいというニーズが高いこと,(3)ストレスに関する知識が豊富で心の健康教育に対するニーズが高い生徒ほど高いストレス状態にあること,(4)ストレスに関する知識の低い生徒は回避的コーピングを用いることが多く,ニーズの高い生徒はサポート希求や努力などの問題解決志向のコーピングを用いる傾向が高いこと,などが示された。 この調査に加えて,高校生の対人関係場面における認知の偏りとストレス反応との関連性に関する調査を実施した。これについては現在データを詳細に分析中であるが,現時点では,認知の歪みが高いほど友人関係のストレッサーを多く経験しており,抑うつや不安が高いという傾向が認められている。 また,これらの調査結果を踏まえて,高校の教育相談担当教師と協同して,対人的な認知の偏りの修正や対人的ストレスコーピングの習得などを要素として含めた心理教育プログラムの素案をまとめる作業を行っており,近日中に実践を行う予定である。
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