研究概要 |
目的 楽観性という概念については、Abramson,Seligman,&Teasdale(1978)が、無力感の予防策として楽観的な期待の必要性を論じたことに端を発し、その負の側面も含め数々の実証的な研究がなされてきた (Affleck, Allen, McGrade, &McQueeney, 1982; Manly, McMahon, Bradley, &Davidson, 1992; 増田、1994; 坂野・戸ヶ崎、1993; Seligman、1991; 藤南・園田・詫摩、1993; 戸ヶ崎・坂野、1993など)。「心理学は人間のより積極的な側面に注目すべきである」とSeligmanが提唱したことで知られる「ポジティブ心理学」においても、楽観性は重要な概念となっている(小玉、2002など)。 母親の楽観性と幼児の社会性との関連は、これまでの研究からすでに明らかになっているが、母親の対人的楽観性の変容が幼児の対人行動の改善に及ぼす効果については、その実証的検討が課題として残されている。本研究では、母親の対人的楽観性が幼児の対人行動に及ぼす影響について検討を行い、その因果関係を明らかにする。 方法 <対象者> 幼稚園年長児、年中児、年少児、男女各5名程度を対象とする。 <手続きの概要> 昨年度の研究の対象者から、性別、月齢、対人行動の発達程度などはほぼ同様な、母親の対人的楽観性が高い幼児の群と低い幼児の群とを抽出する。それぞれの幼児の対人行動の発達プロセスを、ビデオ録画および自然観察の分析などによって比較し、母親の対人的楽観性が幼児の対人行動に及ぼす影響についての検討を行う。 結果 現在、対象児の母親に対する個別面接を継続して実施し、検討を行っている。
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