研究課題
平成19年度では、エラー反応によって惹起されるERNに着目し、その機能のひとつアクションモニタリングの特性を空間ストループ課題で調べた.課題遂行時に生じるエラー反応に対して罰刺激を随伴させた場合、回避動機がアクションモニタリングに影響を及ぼすと考えられる.そこでエラー反応の1秒後に罰刺激(不快・高覚醒、不快・中程度覚醒、中性・中程度覚醒)を提示する3条件と、罰刺激なし条件を比較した.その結果、エラー率は不快・中程度覚醒条件で高くなったものの、ERNには条件間の差はなく、アクションモニタリング機能は罰付加の影響を受けないことが示唆された.また、誠実性の高い被験者ほど、不快罰刺激条件でERNが大きくなったことから、エラー反応のモニタリング機能は性格特性で異なることが示唆された.さらに、従来採用されてきた認知的葛藤課題ではなく、力量発揮課題でもERNが惹起されるかについて検討した.被験者は右手第一指でフォースキーを鋭く押し、被験者毎に予め設定された標的強度値を出力した.被験者には、課題遂行毎に遂行結果の予測(過大、正解、過小)と、その確信度について言語報告させた.確信度の高い試行を分析対象とし、正誤結果別に脳波を加算平均した結果、フォースキーを押すことで誘発される運動誘発陰性電位が、逸脱エラーを反映して大きくなる結果を得た.本詰果より、力量発揮課題で観察される連続型エラーに対してもアクションモニタリング機能が働き、陰性成分を惹起させることが示唆された.従来とは異なる研究アプローチの採用で得たこれらの知見、前部帯状回や一次運動野のアクションモニタリング機能の解明に大いに貢献しうるものと考えられる.
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