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2006 年度 実績報告書

ポジティブ感情の機能に関する多角的検討

研究課題

研究課題/領域番号 18530576
研究種目

基盤研究(C)

研究機関同志社大学

研究代表者

鈴木 直人  同志社大学, 文学部, 教授 (30094428)

キーワードポジティブ感情 / 心臓血管系反応 / 思考の柔軟性 / 生理的覚醒 / 図形分類課題 / 問題解決
研究概要

本年度は、図形分類課題を用いて、ポジティブ感情が問題解決場面における対処行動の柔軟性にどのような影響を及ぼすかを検討した。この課題は、呈示された2つの図形の異同を判断するものであるが、異同の基準を実験参加者自身が見つけ出すという課題である。この課題遂行中、予告なしに分類基準を変更することにより、状況の変化を生じさせた。このとき、ポジティブ感情が対処行動の柔軟性に影響を及ぼすのであれば、ポジティブ感情の高い実験参加者は新たな分類基準にすばやく移行すると考えられる。
第1実験では、すべての参加者がセッション中のある決まった時点で基準変更を経験したのに対し、第2実験では、各参加者の基準理解に合わせて基準が変更された。2つの実験の結果、いずれも課題の成績そのものにはポジティブ感情の影響は認められなかったが、ポジティブ感情が高い群ほど回答時間が短かく、ポジティブ感情は問題解決場面において判断をすばやくする効果をもつと考えられた。また、安静時に高いポジティブ感情を持っ実験参加者は、課題遂行中のポジティブ感情とリラックス感が高かった。生理的側面に関しては、ポジティブ感情の高い群ほど、課題遂行中の生理的覚醒が低く、ポジティブ感情がストレスに対する心臓血管系反応の亢進を抑える可能性が示唆された。
このように、ポジティブ感情が問題解決時の心身の負荷を和らげることが示された一方、課題の成績には明白な影響が認められ,至かった。ポジティブ感情は、いくつもの解決策を生み出すような拡散性の思考を要する課題では遂行を向上させるが、限られた情報をもとに正しい分類基準を見つけ出すという本研究の課題のような収束性の思考を要する課題では、遂行に影響をもたらさない可能性を示すものと考えられる。
これらの成果は、2月末に学会誌に投稿し、現在査読中である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 身振り頻度の抑制に対する主観的規範・自動性・他者からの見えに対する意識と実際の身振り頻度との関係2007

    • 著者名/発表者名
      荒川 歩, 木村昌紀, 鈴木直人
    • 雑誌名

      同志社心理(学内紀要) 53

      ページ: 10-18

  • [雑誌論文] 受信者が感じ手いる感情が送信者の顔文字に与える影響2006

    • 著者名/発表者名
      荒川 歩, 竹原卓真, 鈴木直人
    • 雑誌名

      感情心理学研究 13

      ページ: 49-55

  • [雑誌論文] 動画表情と静止画表情の認知構造2006

    • 著者名/発表者名
      藤村友美, 鈴木直人
    • 雑誌名

      感情心理学研究 18

      ページ: 56-64

  • [雑誌論文] スピーチにおける"あがり"の主観的反応の強度が心臓血管系及び呼吸器系反応に与える影響2006

    • 著者名/発表者名
      敦賀麻理子, 鈴木直人
    • 雑誌名

      心理学研究 77

      ページ: 235-243

  • [雑誌論文] The effects of social interaction and personal relationships on facial expressions.2006

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, K., Suzuki, N.
    • 雑誌名

      Journal of Nonverbal Behavior 30

      ページ: 167-179

  • [雑誌論文] The fractal property of internal structure of facial affect recognition : A complex system approach2006

    • 著者名/発表者名
      Takehara, T., Ochiai, F., Watanabe, H., Suzuki, N.
    • 雑誌名

      Cognition and Emotion 21

      ページ: 522-534

  • [図書] ポジティブ心理学 第5章 ポジティブな感情と認識とその心理的・生理的影響(島井哲志編)2006

    • 著者名/発表者名
      鈴木直人
    • 総ページ数
      278
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
  • [図書] 心理学概論2006

    • 著者名/発表者名
      山内弘継, 橋本 宰(監修), 岡市広茂, 鈴木直人(編集)
    • 総ページ数
      412
    • 出版者
      ナカニシヤ出版

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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