研究概要 |
平成18年度は,武庫川女子大学文学部心理・社会福祉学科において,9月,12月,3月に計4回の研究会合を開催し,談話・語用論的処理に基づく文理解モデルの形式化,工学的実装およびその心理学的妥当性の検証にかかわる向こう3か年の行動計画を策定した。また本年度の研究として、研究代表者(井上)が準備段階・および本年度前半に実施した複数のパイロット実験の結果に基づき,研究計画の基礎となる理論的・工学的アイディアの具体化を試みた。 (1)談話表示理論(DRT)の枠組みに基づく文理解の新たな意味論的形式化を試みた(蔵藤・松井・大谷・宮田(※研究協力者)・井上)。この論議の成果については、次年度の国際学会(Logic and Engineering of Natural Language Semantics 2007)において発表することが採択された。 (2)認知的関連性の概念の形式化と情報間の関連性を定量的に計算する手法の開発の研究成果(松井)をふまえ,特に共起確率のような心理量を用いた関連性の計算を行うための工学的実装に着手した(大谷・宮田・松井・井上)。 (3)語用論的情報のひとつであるプロソディが文理解に及ばす影響についての実証的・理論的検討を開始した(井上・松井)。 以上の研究にかかわる内容を,「認知科学」,"Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin"、"Ryudai Review of Euro-American Studies"各誌で発表すると共に,日本心理学会,日本認知科学会,日本認知心理学会,日本言語学会、関西言語学会,Pacific Asia Conference on Language等で発表した(計7件)。
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