教員養成のカリキュラム研究は、もつばら教育大学協会任せのモデルカリキュラムのみで、それをより客観的に考察したものは見られない。教育大学協会のモデルカリキュラムのみがモデルのように認識され、多くの教員養成大学・学部では、これをよりどころに改革を志向しているように判断できるが、それは妥当性があるのか、ほとんど批判的考察をする余裕のないままに、改革に翻弄されている時代状況である。 そこで、丹念な資料収集と聞き取り調査による教員養成研究が必要であると判断した。本研究は、まさに教員をとりまく大きな構造を分析しつつ、教員養成大学・学部のカリキュラム改革と実践に焦点をあてたものである。 現行の修士課程の教員養成課程は、実践的資質形成の要請を受けて、いくつかの改革をしてきているが、それはどのような実践的資質を志向して、どのようなカリキュラムを作り出してきたのであろうか。専門職大学院に比して、はるかに壮大な人員構成でカリキュラムを構成してきたはずで、そのコンセプトしだいでは、専門職大学院をしのぐ水準の教育ができるはずである。現行の修士課程の実績から継承すべきことは何なのかを聞き取り調査をした。 専門職大学院での教育に重心を移すことは、新しい教員養成の出発なのか、それとも教員養成大学学部の自殺行為なのか、大切な岐路に立つているので、これを明らかにするためにカリキュラム分析を中心に聞き取り調査をした。 以上をふまえて、いくつかの学会及び他大学のFDでその実践的課題について発表した。
|