研究概要 |
本研究は,近年の教育改革で最重要課題とされている「学校の自律性」確立の意味を学校内部の組織機能という側面から捉え,各学校が独自に目標を設定してその実現のための方法を考えて実行し,それを継続的に改善していくためにはどのような組織的要因が必要であるかを解明することを目指した。そうした組織機能の中でも鍵を握ると考えられる「自己評価」機能に焦点を当て,各学校におい.て,自らの教育活動をふり返り,改善課題を明確化するという「自己評価」機能を促進させるために有効な組織的要因を解明することを目的とした。具体的には、特色ある教育活動を創出しているか,あるいは継続的に教育活動の改善を行っているとみられる学校(小・中・高等学校)を事例として,それらの組織活動について一定期間にわたる観察調査およびインタビュー調査を実施することを試みた。このうち小学校の事例分析を通じて,「学校の共有ビジョン」の形成を重視しそれを意図した教職員間,のコミュニケーションの展開を貫く校内研修の展開のもとで,校長の学校経営ビジョンおよびそれに基づく経営実践と個々の教師によってなされる教育実践との連結が実現されていたことを明らかにした。従来、学校改善プロセスについての研究は十分でない。本研究は,とくに「自己評価」機能がどのような要因で促進されるかについて事例をもとに実証的に明らかにしたところに意義を有する。
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