本研究は、教員の大量退職時代の到来と教育条件の悪化という文脈の中で、現職教員の力量形成がきわめて重要な意義を持ってくるという認識から、その先進的事例として、教員養成機関(IUFM)と教育行政(大学区)が連携して教員の現職教育を実施しているフランスの教員研修を分析・検討するものである。平成19年度は、前年度の研究成果をもとに、(1)文献研究によるその補足、(2)研究の総括、(3)研究成果の発表を中心に研究活動を行った。 (1)文献研究については、前年度現地調査で得られた関係者の証言の確認および不足部分の補填を行うために、フランスの教員研修に関する全国調査等から数量的データを中心に分析した。 (2)研究の総括については、本年度および前年度に得られた知見から、(1)フランスにおける教員の現職教育の中心は大学区研修計画に基づいてIUFMが実施する教員研修であり、教科指導や教職教養に関する研修のみならず、学校単位の研修、初任者研修、事務職員研修、管理職研修も含む、大規模かつ体系的な現職教育であること、(2)フランスの教員研修の課題は、養成と研修の継続性が体系化されていないこと、教員研修における大学人の活用が不十分であり、その拡充が求められること、教育の一貫性の観点から研修において小学校教員と中学校・高等学校教員を接近させることなどの課題も抱えていることを明らかにした。 (3)研究成果の発表については、学術論文および学会報告により、上記の研究成果を発表した。
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