研究課題
基盤研究(C)
本研究は、教員の大量退職時代の到来と教育条件の悪化という文脈の中で、現職教員の力量形成がきわめて重要な意義を持ってくるという認識から、その先進的事例として、教員養成機関(IUFM)と教育行政(大学区)が連携して教員の現職教育を実施しているフランスの教員研修を分析・検討するものである。具体的には、フランスにおける教員の現職教育について、(1)その基礎的事項の整理、(2)その実情の把握、(3)その利点と課題の解明を中心に研究を行った。(1)基礎的事項については、先行研究等も参照しながら、(1)1990年代に教員研修の実施者が教育行政(大学区)から教員養成機関(IUFM)に変更になった経緯等を明らかにするとともに、(2)教員の現職教育に関する法令規定の整理を行い、教員研修の法的位置付けを明らかにした。(2)教員の現職教育の実情把握については、主として基礎資料の収集・分析と現地調査から、以下の点を明らかにした。(1)フランスの教員研修は、国の優先事項を考慮して大学区が研修計画を作成し、それに基づいてIUFMが関係者と連絡調整と意思疎通を図りながら実施することになっている。(2)教員の多くは研修に対して積極的な態度を示している。(3)研修内容はきわめて多岐にわたっているが、特に教科の知識に関するものが非常に充実している。(3)教員の現職教育の利点と課題については、(1)教科指導や教職教養に関する研修のみならず、学校単位の研修、初任者研修、事務職員研修、管理職研修も含む、大規模かつ体系的な現職教育であること、(2)その一方で、養成と研修の継続性を確保すること、研修における大学人の活用を図ること、教育の一貫性の観点から小学校教員と中学校・高等学校教員を接近させること等の課題も抱えていることを明らかにした。
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大阪教育大学紀要(第IV部門) 第56巻第2号
ページ: 129-145
スクールリーダーの学習拠点づくり-スクールリーダー・フォーラム- 6
ページ: 61-68
Memoirs of Osaka Kyoiku University, Ser.IV(Education, Psychology, Special Support Education and Physical Education) Vol. 56, No. 2
School Leaders Forum no. 6