平成18年度は、提出した研究計画に基づき、次のことを実施し、一定の成果をえた。 1.アメリカ、ドイツで開発されたスーパービジョンの多様なモデルを検討した結果、現在開発されているスーパービジョンモデルは、心理学モデルないしソーシャルワーカーなど社会福祉関連で働く人を対象としており、授業改善を対象としたものは、皆無に近いことがわかった。 2.ドイツのキール大学で開発されたスーパービジョンモデル(教育スーパービジョンキールモデル)は、学校教育活動と授業改善をめざした数少ないスーパービジョンモデルであることが明らかになったので、教育スーパービジョンキールモデルを中心に分析を深めた。 3.大阪府下の小・中学校教員を対象にアンケートを実施し、現在感じている授業の困難点について調査した。授業におけるコミュニケーション活動の活性化が一つの課題であることが明らかになった。 4.スーパービジョンで使用するワークシートを教育スーパービジョンキールモデルによりながら整理した。 5.スーパービジョンは、スーパーバイジーの教育活動に関する資料の収集が基礎となる。そこでまず、基礎資料となる授業観察用のワークシートを検討し、作成した。 6. 5で作成したワークシートを使って、学生を対象に授業観察のトレーニングを実施し、実際に授業ビデオを使って、授業観察を行った。 7.教師教育学会第16回研究大会(2006年9月24日、山梨大学)で、教育スーパービジョンキールモデルの特質とワークレベルならびにワークシートの構造を中心に、研究の途中成果を発表した。質疑応答の結果、教育スーパービジョン開発へのニーズが高いことを確認した。
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