本年度は、高齢者の学習支援に関する研究を理論研究と実証研究の2つの角度から研究を進めた。 1.理論研究においては、エイジングの概念のなかでもとくに「ポジティヴ・エイジング」の問題を焦点化し、主にアメリカの文献を中心にその意味するものとその理念にもとづく具体的な支援のあり方を整理した。また一方で高齢者の社会参加と老人大学に関する文献を収集・整理し、その意義と課題、これまでの実践例を整理した。この成果は『教育老年学の展開』に収められている。 2.実証研究においては、まず大阪府老人大学修了者に対する調査結果を再分析し、高齢者の老人大学への評価と社会参加活動との関連についての分析を深めた。また主に都道府県レベルの老人大学(沖縄県、兵庫県、愛知県など)の視察とその職員や受講者へのインタビュー調査を実施し、明るい福祉行政系の老人大学と教育行政系の老人大学(長寿学園)との機能の対比を行い、今後の調査への仮説を導いた。さらに台湾での老人大学調査のコンタクトも深め、国際比較研究を進める準備をした。これらの成果は『教育老年学の展開』や「高齢者の社会参加活動と生涯学習活動の関連に関する一考察」のほかに、大阪教育大学生涯教育計画論研究室編『老人大学修了者の老人大学への評価に関する調査研究』(2006)という報告書にも収められている。
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