本年度は、高齢者の学習支援に関する研究を理論研究と実証研究の2つの角度から研究を進めた。 1.理論研究においては、(1)欧米のエイジング教育および高齢者教育の文献を中心に、とくに高齢者への学習支援方法のあり方の整理、(2)欧米および日本の高齢者やシニア向けの大学開放の実践とその理論的根拠の考察、(3)1990年代以降の成人発達論の新展開の整理という3点から研究を進めた。 2.実証研究および実践研究においては、まず大阪府老人大学修了者調査結果をもとに、高齢者の老人大学への評価と社会参加活動との関連などの関する論文を日本老年科学会や大阪教育大学の紀要にまとめる作業を行った。一方でそこでの論点を軸にした質問紙調査を台湾で行うため、中国語に翻訳したうえで中正大学高齢者教育研究所に、質問紙を送り調査を進めている段階である。 一方で日本の先進的な老人大学などの訪問調査を実施したが、本年度は東京都世田谷区の老人大学や愛知県の老人大学などの実践を参照している。さらに国際調査では、5月にスコットランド・グラスゴーのStrathclyde大学の世界高齢者教育会議に参加し、世界的にみた第三期の大学の発展の可能性を検討した。あわせてロンドン郊外のSuurey大学での大学開放への視察や2007年12月にアメリカ・フロリダのEckert Collegeで開催された世界Positive Aging会議の資料の収集などを行った。
|