研究概要 |
本年度は、計画書で設定した三つの構造要件をそれぞれ検証した。以下、各構造要件の進捗状況を記す。 1,対象地域の空間編制 高知県・山梨県における公立学校の入試方式と通学区域制度を調べた。さらに中等教育における公立・私立学校の構成を検証するため、私立学校の設置数や歴史的経緯についての情報を現地で収集した。長野県については、学校史や地域史の文献から基礎的な情報の収集を行った。 2,社会の組織動向 高知県・長野県・山梨県の産業構造の変化と学校制度の編成との相互関係の調査を行った。また、全国的な長期変動を把握するため、大宅文庫において学校記事の収集も行った。 3,家族構成 家族の教育費に対する長期変動を三上が担当した。大宅文庫にある雑誌記事を検索し、子弟の教育費の捻出にまつわる情報を収集した。家計支出教育費について長い歴史を持つ家計簿を中心とする資金確保と支出の歴史に加えて、新たに家族の教育制度選択と学校間接続についての家族の選択と、このための長期的価値志向の調査を開始した。 現在の家族の教育費に対する価値志向の検証を末冨が担当した。来年度に2000人規模のアンケート調査を行うために、質問項目を設定した。 以上、本年度は、対象地域における教育の経路性を精査するために欠かすことが出来ない歴史的過程を集中して調査した。この成果を踏まえて、学校間接続の歴史的地域的構造変化を検証するとともに来年度に現状を詳細に検討する。
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