本研究は次の三つの課題を立てており、それぞれについて進捗状況を報告する。 【課題1】異なる専門職倫理教育ないし職業倫理教育の理論と実践を、指導法、評価法、実践者養成の三つの観点から比較検討する。 【課題2】実際の授業の開発者に面談を行うとともに、授業に参加して検討する。 【課題3】課題1及び2から、実践的判断力を涵養可能な授業モデルを提出する。 【課題1】関連文献を収集し、教師の他、看護師及び技師の専門職倫理教育とビジネス倫理教育に関して比較検討している。 【課題2】平成18年5月及び平成19年3月に慶應義塾大学ビジネススクールで開催されたケースメソッド教授法に関わる研修会に参加した。その際、研究協力者である慶應義塾大学教授の高木晴夫氏とケースメソッド教育研究所代表の竹内伸一氏に面談し助言を求めた。 平成18年4月にメキシコのプエルト・ヴァリャルタで、また、平成19年3月にアメリカのアトランタで開催された北米教育哲学会に参加し、専門職倫理教育に関心を寄せる研究者で会合をもった。それぞれの研究状況報告・意見交換をし、今後の研究の相互推進を図った。 平成18年8月にマルタで開催された教育哲学者国際連絡会第10回大会において、それまでの研究成果と今後の研究計画をまとめた、"Teaching the Professional Ethics of Teaching"を発表した。 【課題3】平成19年1月に、竹内伸一氏を広島大学に招き、ケースメソッドを用いた研究代表者の教職倫理教育授業を観察していただいた。広島大学の複数の教員にもこの授業を観察してもらい、授業後の検討会において、改善点・留意点を指摘していただいた。学生による授業評価アンケート調査から、ディスカッションを中心にした教職倫理の学習は学習者の達成感が高いものであることがわかった。
|