本研究は次の三つの課題を立てており、それぞれについて進捗状況を報告する。 【課題1】異なる専門職倫理教育ないし職業倫理教育の理論と実践を、指導法、評価法、実践者養成の三つの観点から比較検討する。 【課題2】実際の授業の開発者に面談を行うとともに、授業に参加して検討する。 【課題3】課題1及び2から、実践的判断力を涵養可能な授業モデルを提出する。 【課題1】日本学術振興会特別研究員の上野哲氏とともに、平成19年12月にニュージーランド・ウェリントンで開催された南太平洋州教育哲学会年次大会において成果発表した。日本の専門職教育として、技術者、看護師、教員それぞれの養成カリキュラムを取り上げ、専門職倫理がどのように教えられているのかを明らかにするとともに、問題点を指摘し改善策を示した。 【課題2】平成19年11月に慶應義塾大学ビジネススクール開講授業「ケースメソッド教授法」に出席した。その際、研究協力者である慶應義塾大学教授の高木晴夫氏とケースメソッド教育研究所代表の竹内伸一氏に面談し助言を求めた。 平成19年12月にオーストアリアのグリフィス大学を訪問し、研究協力者であるMark Freakley氏が開発した教職倫理教育の評価法の説明を受けた。また、同月、米国フロリダ州立大学の大学倫理センターを訪れ、意見交換を図った。 【課題3】平成20年3月に、広島大学に招聘された高木、竹内両氏とともに、ケースメソッドを用いた専門職者養成の可能性についてパネルディスカッションを行い、教職倫理教育の方法としてのケースメソッドの有効性を吟味した。
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