本年度は、主に評価制度を中心に研究した。その結果、米国における教員評価制度に関する州法規定はおおよそ以下のような特徴を有していることが明らかとなった。 1.州による権限付与の強弱という点からみて、その基本的構造が「州集権型」「州一定関与型」「地方分権型」の3つのタイプに類型化できる。 2.現行各州法規定では、教員評価制度は不適格な教員の排除を目的とした管理的な制度というよりも、教員の資質能力の改善を目的とした支援的な制度である。 3.米国における教員評価制度は、そのプロセスにおいて「教員の権利」を十分に保障し、評価に対する「納得性」や「透明性」を高めようとする姿勢が看取されるとともに、教員ヘ一定の権限を委譲することによって、教員の専門職性の向上を図ろうとしている。 4.米国における教員評価制度の内包する課題として、(1)同制度における評価者の評価責任が十分に明確化されていない、(2)同制度の基本的構造形態や教員に対する意見尊重度を特徴づけるうえで重要な要素である「教員参加」に関する規定が十分でない、といった諸点がある。
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