研究概要 |
障害をもつ高齢者の個々の学習支援に関しては,極めて個別的な対応が必要であることがこれまでの結果から予測されてきた.そこで本研究では,障害をもつ高齢者の学習支援のための介入研究を実施することを目的としている. 本年度は,障害をもつ高齢者の学習支援の現状ならびに問題点・課題を把握するために,(1)概念整理と(2)事前調査を実施した.(1)概念整理は,主として「学習」概念ならびに「作業遂行障害」との関係について,国内外の文献を収集・整理した.(2)事前調査は,次の3つの層においてそれぞれ実施した.3つの層とは,(1)現在,積極的に学習を行っている者(公民館などで活動する団体・グループ,諸団体に所属),(2)受障・発症直後の者(脳血管障害などの発症により回復期リハビリテーション病棟に入院の後,自宅での生活が始まった者),(3)受障・発症から数年が経過している者(介護保険制度を利用)である.具体的には,高齢者大学(兵庫県,愛知県),就労に向けた学習活動を支援している障害者授産施設(兵庫県,熊本県),回復期リハビリテーション施設(兵庫県,大阪府),介護老人保険施設(兵庫県)において,活動状況の視察ならびに職員や受講者・利用者へのインタビュー調査を実施し,今後の介入研究にむけた課題の整理を行った. これらの結果を踏まえて,現在,次年度に予定されている介入研究のためのフィールド候補施設を選出し,実施に向けた準備(施設への打診,研究協力者への依頼,大学倫理委員会の承認を得るための書類作成など)に取りかかっているところである.
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