研究概要 |
障害をもつ高齢者の「学習」支援に関しては,きわめて個別的な対応が必要であることが予測されてきた.そこで本研究では,障害をもつ高齢者の「学習」支援について具体的な実践を記述し,これまで明らかになってきた事象と照らし合わせ,今後の研究・実践課題について考察していくことを目的としている. 本年度はまず,高齢期の社会参加,生涯学習,障害,健康,ヘルスプロモーション,アクティヴ・エイジングなどに関する概念整理を行い,これらを老年期の生活課題という視点からまとめる作業を行った.つぎに,本研究は神戸学院大学における研究倫理委員会の承認を受け,下記の研究協力病院・施設において調査・介入研究を実施しているところである.具体的には病院(骨折や脳血管障害などで受障・発症後の急性期から回復期にある者への学習支援),介護老人保健施設(回復期から維持期にある者への学習支援),小規模作業所(自宅生活を送りながら就労をめざしている者への学習支援)である.これらの支援は主として作業療法士によって実践されている.また,生涯学習を行っている障害をもつ高齢者とその支援の現状を知るために,日本における先進的な老人大学である東京都世田谷区の生涯大学ならびにスコットランド・グラスゴーのStrathclyde大学において開催された世界高齢者教育会議に参加し,情報収集を行った. これらの結果をふまえて,次年度も引き続き調査・介入研究を行う予定である.
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