研究課題
基盤研究(C)
2か年の計画でとりくんだ「ロシア社会における少子化の進展と子育ての実態」に関する調査・分析から得られた主要な結論はつぎのとおりである。(1)1991年のソ連崩壊(解体)の影響を受けて、ロシアでは1990年代に少子化が急速に進み、崩壊前に49%(千分の一の単位「パーミル」)であった普通出生率(出生数÷人口)が1990年代末に31%まで低下した。ところが、21世紀に入ると、それが回復し始め、近年は30%台後半に達している。(2)他方、死亡率はソ連崩壊後に上昇し、現在も高止りの状態にある。その結果、崩壊後から人口は自然減少に転じており、1990年代末以降の自然減少率は6%を超える高い水準にある。(3)ソ連崩壊前に7割を超えていた保育施設への就園率(園児数÷乳幼児総数)は現在5割ほどに低下しており、とくに農村の値は35%まで急落している。「子育ての共同化からの後退」というべき現象がみられる。(4)その要因として、保育施設網の縮小、保育施設への親の信頼の低下、若い世代で強まる「専業主婦志向」、夫婦の完結出生数(子ども数)の減少傾向などがあげられる。(5)2000年以降のロシア経済の好転を反映して保育予算は増額され、保育施設網の縮小にも歯止めがかかってきている。夫婦や家族の子ども像も変化しており、ロシアの子育ての様態は急激な変動の過程にあるので、ここしばらく注視が求められる。本研究の詳細については、その前史にあたる19世紀後半〜20世紀前半の動向を含む報告書(日本語版・英語版)を参照してほしい。
すべて 2008 2007 2006
すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (2件)
ロシア連邦のキャリア教育に関する総合的調査研究(科学研究費補助金成果報告書)(岩崎正吾・代表)
ページ: 107-130
General Research of the Career Education in Russia(Tokyo, Report of Project of Grant-in-AidforScientificResearch(B))
青山学院女子短期大学紀要 第60輯
ページ: 177-199
JournalWomen'sof Aoyama Gakuin Junior College 60(2006)