(1)資料の分類・整理と翻刻申請者の研究室に寄託されている恵愛学園関係資料を整理、分類し、細目録を作成する基礎作業を、年間を通じて実施し、目録カードへの登録が終了した。特に戦災孤児に直接関係する資料について、基幹部分と思われる戦後直後の恵愛学園の業務日誌については、昭和25年から昭和31年までをデータファイルに翻刻した。 (2)資料調査戦後直後の状況把握のため、昨年度に引き続きプランゲ文庫「雑誌」コレクションを対象に、キーワードとして「孤児」「浮浪児」「疎開」で検索しながら、丁寧な資料調査を実施した。先行研究においても活用されていない雑誌記事が発見されることも多く、当時のジャーナリズムがどのように「戦災孤児」を捉えようとしていたのか、その実態の報道も含めて、興味深い資料が集まりつつある。 (3)資料の翻刻『業務日誌』についで、著名な教育学者、城戸幡太郎や三木安正らを中心とする戦災孤児に関する要保護児童研究会(1945.9)などについての研究資料や新聞記事などの翻刻も行った。戦争の結果、戦災者又は引揚同胞の中孤児となった者の数が相当多い混乱なかで、そのような社会的弱者を対象に真正面から研究対象としたこの研究会については、従来触れられることがなかったことから注目に値する。 (4)上記の細目録と『業務日誌』および要保護研究会などの資料については、それぞれ個人情報に配慮しながら、これらの資料を翻刻公開して研究の便を図りたい。具体的には、別途研究成果報告書を作成することとした。
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