研究概要 |
近年多様化する教育ニーズと学校設置・運営形態の多様化、さらには公的財源の逼迫化に伴う民間資金の導入などの流れの中で、学校の設置および運営を主目的に組織された株式会社による活動が様々な文脈において注目されてきている。このような動きを前提に株式会社立学校の目的とその運営、学校経営の実態とそれとの関わり、また通常みられる既存の学校経営との相違点を明確にしながら、新しい学校の可能性を検討することは時宜にかなっていると考えられる。このような問題意識に立脚し、本年度は学校の設置および運営に関わる日本の現行制度の特徴とその理論的な特質について検討を加え、設置者と管理者、運営責任者との間の相互関係の現状について検討を加えた。またこれを併行して、諸外国における実態を克明に調査することによって日本の制度との比較を進めることが有効であるとの認識に基づき、アメリカならびに英国において事業を展開しつつある会社およびその設置する学校(米国:Edison Schools社とHerriot Tubman Charter School, NY、英国:JEMS社とSherfield School, Nord Anglia社)を直接訪問し、担当者から企業活動の実情や経営規模、学校当局との関係、さらには教育課程や教員人事との関わりなどについて情報の提供を受けた。 これらの事実関係や情報をもとにして、次年度は英国ならびに経済成長の著しい中国における学校経営の実態を調査して、この課題の総合的な解明を予定している。
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