平成18年度、次のような研究課題に取り組みその成果を得た。 1.乳幼児の砂遊びの観察とデータ収集 主に0歳児後半から2歳前までの乳幼児に焦点を当て、平均月1回の観察とそのデータ収集を行った。特定の子どもの加齢に伴う行動と遊びの変化、道具を全く存在させない砂場での遊びの様子観察、「型抜き」の行為に見る子どものイメージと創造の関係などについて、収集したデータからの考察を行った。 なお、本研究の一部は、平成19年4月に発行された季刊雑誌『発達』第110号に発表した。 2.砂場環境と砂遊び及び大人の砂遊びへの意識 (1)北海道釧路市にある140平方メートルの屋内砂場における子どもたちの砂遊びの様子の観察と、そこに子どもを連れてくる大人や保育者たちへの聞き取り調査を行った。 (2)保育者を対象とした砂遊びのワークショップを行うなかで、砂遊びに対する保育者の意識の変化について聞き取りを行った。 3.砂場に関する歴史的研究 (1)アメリカ合衆国におけるおよそ100年前の砂場の設置及びプレイグラウンド・ムーブメント運動に関し、シカゴ、ニューヨーク、ボストン等、東部諸都市を訪れて史的施設の現況を確認するとともに、歴史的資料の収集を行った。 (2)1909年にデンマークで発行された"Barnets leg I sandet"の翻訳を行い、ヨーロッパにおける砂遊びの広がりと砂場を中心とした遊び場づくりの意義について考察を行った。 今後も、引き続き幼児期の子どもの加齢に伴う行動と遊びの変化をとらえ、その発達的特徴をつかみたい。また、砂遊びの環境研究として砂場という空間及び大人の意識について更に実地調査を行いながら深めていきたい。
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