平成20年度は次のような課題に取り組みその成果を得た。 1. 幼児期前半から後半にかかる子どもの砂遊びの観察とデータの収集 前年度まで観察を続けてきた複数の幼児たちの2歳児期後半から4歳児期にかかる砂遊びについて、2ヶ月に1度の観察を行い、ビデオカメラ及びデジタルカメラによって砂遊びのデータを採取した。この時期における砂遊びの特徴として、(1)言葉による模倣(ごっこ)遊びの環境素材としての砂の使用、(2)特別な道具を用いた砂の造形的活動への関心とその試みという2つの意欲的な活動を見出すことができた。 2. 砂場の環境設定と保育者の関わり 上記砂遊びの観察児において、砂場及び砂場周辺の環境設定について、特に道具類の配置という視点から観察を行った。移動型の比較的大きなテーブルやいす、フープ類の配置によって、子どもたちの砂との関わりが毎回違った様子を見せることや保育者たちの言葉がけによる砂を使った「ごっこ遊び」の発展的な展開が特徴的であった。 3. 保護者の砂遊びへの意識調査 保護者を対象とする砂遊びのワークショップを行い、保護者の砂遊びに対する意識変化について調査を行った。砂遊びに否定的な考えを持っていた母親も実際に砂遊びを経験することで大きな意識変化が見られたが、衛生や安全への関心(不安)がむしろ大きく、地域における遊び環境を充実させていく上での今後の課題として受けとめた。
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