5月にヘルシンキ大学幼児初等教育学科長のMikko Ojala教授を招へいし、芦屋市の協力幼稚園と、同市の小学校1年生の「算数」の教授を参観し、その後研究協議を行った。日にちを変えて、芦屋市の幼稚園円・小学校の先生を対象にした講演会と、甲南女子大学の「子ども学講演会」で話をしてもらったが、日本とフィンランドの幼年教育に共通して明らかになったことは、「子どもが自発的に環境とかかわる力を助成し、遊びをとおして学ぶこと」こそ有効であるということであった。 7月の環太平洋乳幼児教育学会(香港)では、「乳幼児教育における第二言語としての英語」というテーマで二つのセッションにわたるシンポジウム開かれた。ニュージーランド、シンガポール、フィリッピン、日本、韓国、中国語圏からの報告があった。いずれの国・地域においても国の政策として英語教育を低年齢に導入しているのだが、教育目的、カリキュラム、指導法の研究が追いついていないことが指摘された。また、日本と韓国は母語があって第二外国語としての英語教育がなされるのに対して、一親族内でさえ多言語であるような、シンガポール、フィリッピンをはじめとする他の国・地域では、同時に多言語に曝されているという事情があることが指摘された。 リテラシー学習は、子どもの置かれているリテラシー環境のなかで、子どもの生活・遊びと子ども自身のニーズにもとづいて成立するものである。このことをふまえてリテラシー学習のプログラムを考えて行く必要があることがわかった。 子どものニーズにみあったリテラシー学習と教具・教材の考案に着手した。
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