5、6月の研究協力園(芦屋市立幼稚園)との研究協議の中で、リテラシー学習の基礎に話言葉による表現(オラシー)があることが確認された。そこで前年度に取りくんだ劇遊び(ピーターパン)のプロジェクトを分析した。これは5歳児クラスがおよそ2ヵ月にわたって行ったものである。児童文学書の読み聞かせ⇒好きな遊びにおける物語の再現⇒劇の小道具作製⇒教師と子どもによるセリフの創造、の過程を辿り、生活発表会での上演は優れたものであった。この研究で明らかになったのは、話し言葉においても、幼児自身の言語表現への欲求がなければ学びが成立しないということである。同様に、リテラシーにおいても、幼児自身に「読みたい」「書きたい」の欲求がないところで、ワークシートや文字カードを与えても学習が成立しないことがわかった。 この原理を踏まえて研究協力園では「郵便やさんごっこ」を実践した(7月)。幼児の日常生活の中での手紙への興味を取りあげ、ポストの製作も行いながら5歳児たちは「手紙のやりとりを通して、相手に自分の気持ちを文字や絵などで伝える」ことを学んだ。また研究協力者(船越:算数教育)との協議において、日本語ではものを数えるときに「3こ」「2ほん」「5まい」「3ひき」と異なる呼称があることが指摘された(6月)。そこで「数字カード」「絵カード」「数える語のカード」をつくり「お店やさんごっこ」のプロジェクトをたてて大学生で模擬保育を行った(11月)。環太平洋乳幼児教育学会(7月)では、幼児の英語教育については有意義な資料が得られなかった。
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