(1)「教育評価局」(Education Review Office)の教育・保育評価に関する調査研究、(2)アセスメントに関する調査研究のうち、平成18年度には、(1)のを中心に、ニュージーランド調査(平成18年8月13日〜24日、ウェリントン及びオークランド)、資料収集、訪問及び収集した資料の分析を行った。 (1)「教育評価局」(ERO)の訪問、聞き取り調査と資料収集を行った。そのなかで、EROによる教育・保育評価導入の経緯、組織と役割、乳幼児教育施設に対する教育・保育評価のプロセスと特徴、教育・保育評価の枠組み、評価指標(Evaluation Indicator)及び評価調査官の専門性を把握し、その特徴を明らかにすることが出来た。 以下はその概要である。教育・保育評価の特徴として、(1)乳幼児の学習と発達への貢献に焦点を当てた教育の質を中心とした評価であること、(2)ニュージーランドにおける乳幼児教育の多様性を踏まえた柔軟なアプローチであること、(3)乳幼児教育施設の教育・保育の改善につながる「評価と支援(Assess and Assist)アプローチを採用し、近年は各乳幼児教育施設の自己評価(Self Review)を重視する傾向が強まっていること、である。また評価調査官(reviewer)は高度な専門性を備えた職種であることも明らかになった。評価調査官に求められるスキルや知識としては、効果的な教育実践やカリキュラム、評価に関する知識及び法令に関する知識、企画力、分析力、コミュニケーション・スキルなどがあげられ、評価の大学院修了資格(Post Graduate Diploma in Evaluation)取得者も増えつつある。 これらの研究成果の一部は、「統一カリキュラムに基づき改革をすすめるニュージーランド(仮)」として6月に刊行予定(『世界の幼児教育改革と学力(仮)』、明石書店、所収)である。 (2)アセスメント(評価)に関する研究としては、教育省の乳幼児教育カリキュラム専門職員に対する訪問、聞き取り調査と資料収集、乳幼児教育施設の訪問及び実践事例の収集を行った。これらの成果及び2007年度における調査資料をもとに理論的・実践的な検討を行う予定である。
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