研究課題
今年度から纏めを意識して、史料を広く収集するというより、重点を明確にして日記の分析に力を注ぐ方向で研究をすすめている。具体的には、(1)会津高田の『継声館日記』について、史料紹介を中心とする研究ノートをまとめた。そのなかで135人の門弟の就学状況を、登校日数やテキスト、試験の成績、子ども同士の喧嘩や師匠の与える罰など、記述に即して紹介した。高田は門前町で、子どもたちの多くは町中の商人の子弟だが、四書五経を数年にわたって学ぶ学習意欲が何に由来するのか、田中文庫に残るほかの日記の記述とも関わらせながら、在郷商人の学習意欲の性格をさらに解明してゆきたい。(2)武士の日記については、農民の事例や商人の事例と比較可能な、東北の在郷武士ということで、相馬藩儒熊川家文書の日記を主たる研究対象に選んだ。相馬藩は報徳仕法で復興を実現した農村を多数有している。日記の書き手、熊川兵庫はその仕法を積極的に推進した家老なので、著名な『富田高慶日記』との比較も意味があるかもしれない。農村復興に取り組んだ武士たちの記録をとおして、同じ時代を生きた武士と農民の家政の実態や家意識、子育て意識の比較ができると良いと考えている。(3)『宗伊日記』(山形地方)について、家族関係の記述の分析を進めたいと考えていた。読み進めているが、今年はフィールド調査には取り組むことができなかった。最終年度に改めて取り組むことを予定している。
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和光大学現代人間学部『現代人間学部紀要』 第2号
ページ: 163-176
Report of the Indiana Conference on Literacy in Japanese History, Translation Series(Richard Rubinger ed. ) No. 3 (Summer 2008)
ページ: 53-62
『世界の児童と母性』 特集父親・父性と子ども Vol. 65
ページ: 2-5