平成18年度は、海外現地調査として、上海大学(中国)、同済大学(中国)、チュラロンコーン大学(タイ王国)、ナンヤン工科大学(シンガポール)の各ビジネススクールを訪問し、国際プログラム担当教職員を対象にヒアリング調査を実施した。上海大学・同済大学におけるビジネススクールでは、政府当局によるビジネススクール・コアカリキュラムへの関与と国際ビジネス教育における課題点が理解できると同時に、選択科目での自由度を活かした国際色豊かなカリキュラム編成への取り組みを垣間見ることができた。また、アジアのトップビジネススクールに位置づけられるチュラロンコーン大学サシン・ビジネススクールの財政運営は、大学本部から完全に独立しており、財政運営基盤の独立性が国際MBAプログラムのカリキュラム構築に与える影響とその重要性を理解することができた。ナンヤン工科大学ビジネススクールでは、多国籍企業との連携によるカリキュラム構築やファカルティ・ディベロップメント(FD)等の有効性を検証できるヒアリング結果が得られた。 上述の現地調査以外にも、日本国内における日系・外資系企業から回収した小標本データをもちいて、わが国の異文化組織におけるコミュニケーション問題を分析した。その結果、企業内における異文化コミュニケーションは日本人従業員にとって大きな課題であると同時に、日系・外資系企業間では、従業員の意識の違いに統計的に有意な差が存在することがわかった。この研究成果は、"What Do Japanese Workers Want to Know about Intercultural Communication? - An Analysis of Nikkei vs. Goishi-kei Kigyo Employees"として共著執筆し、「異文化経営研究」(異文化経営学会)に掲載された。
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