昨年に引き続き、植民地下朝鮮にあった高等女学校を卒業後、内地に留学した朝鮮人女子学生の実態調査に焦点を当て、留学体験者にインタビュー調査を実施するとともに、学校史の関連記事を翻訳した。諸文献・統計資料等の収集にも務め、以下の研究実績を得た。 1) 京畿高等女学校(公立で朝鮮人のみ在籍)、培花高等女学校(キリスト教系私立で朝鮮人のみ在籍)からの内地留学生に関し、学校史の関連記事の翻訳を行ない、留学先、留学生数、卒業後の進路等、全般的動向を把握し、調査済みの諸学校と比較・検討した。 2) 京畿高等女学校の卒業生及び内地留学生に関しては、これまでに実施したアンケート調査・インタビュー調査の結果等も援用しながら論文にまとめた。また、同校に関しては、これまでに得た研究成果の一部を刊行するため作業を進めている(「春風社」より刊行予定で、現在初校を終了)。 3) 戦前、朝鮮から80人以上の留学生が在籍した帝国女子専門学校(現・相模女子大学)における留学生の全体像を把握し、その成果を論文にまとめた。 4) 柳宗鎬『僕の解放前後(1940〜1949)』の日本語訳を完了し、筆者と面談した。同書日本語版の出版に向け、作業を進めている(「春風社」より刊行予定で、現在段組み終了)。 5) 2008年3月15日(土)に「歴史を複眼で見る-朝鮮の高等女学校の思い出」というテーマで、元京畿高等女学校教師吉田重氏(97歳)とともに公開セミナーを行なった(於:岐阜市めいてつギャラリー、62名参加)。 6) 誠信女子大学(女子美術専門学校に留学した李淑鍾が創設)、中央女子高等学校(日本女子大校に留学した黄信徳が創設)及び創設者に関する資料を収集した。
|