研究概要 |
植民地下朝鮮にあった高等女学校を卒業後、内地に留学した朝鮮人女子学生の実態調査に焦点を当て、留学体験者に補足インタビューを実施するとともに、関連する諸文献・統計資料等の収集を行ない、本研究最終年のまとめに努め、以下の実績を得た。 1. 京畿女子高等女学校卒業生及び同校元教師へのインタビュー結果を、研究代表者は『海峡を越えて-京畿高等女学校の思い出』(2008年9月、春風社)としてまとめ出版した。 2. 植民地における高等女学校教育の実態を小・中学校の教育と比較するため、柳宗鎬『僕の解放前後1940-1949』の日本語訳を行ない、刊行した(白燦訳、太田孝子日本語校閲、2008年10月、春風社)。 3. 明治から始まった日本人女性の留学の歴史を,女子内地留学生と比較するため、連携研究者は『つながりあう知』(2009年3月、春風社)にまとめ、出版した。 4. 淑明高等女学校学校史(『淑明70年史』)の1906年〜1953年、及び年表の全訳を完成し、研究テーマに該当する内容の検討・協議を重ねるとともに、すでに翻訳済みの同校『淑明90年史』とも比較し、同校の学校史の概要を詳細に把握した。(韓国における反日感情の動きは、学校史の記述にも如実に反映し、記述にかなりの相違がみられる。) 5. 女子美術学校に留学後、誠信女学校及び誠信女子実業初級大学(現・誠信女子大学)を創設した李淑鍾の伝記を翻訳し,李淑鍾の留学体験と帰国後の社会参加の在り方を検討した。 6. 誠信女学校史(『誠信25年史』)を翻訳、同校の教育目的、教育内容、卒業生の進路等を把握し、すでに翻訳済みの諸女学校と比較・検討した。 7. 大邱高等女学校、金泉高等女学校卒業生各1名にインタビュー調査を実施し、女学校教育の回想、卒業後の進路(福岡女子専門学校)と同校の教育内容、朝鮮生まれの日本人にとっての「内地」での学校生活に関する具体的証言を得た。
|