NPM理論の教育分野への適用・導入についてはどのような理論構成がなされているのか、また、その導入によっていかなる実態が生まれているのかを明らかにすることが必要とされている。こうした問題意識にもとづいて、研究の第二年次目にあたる本年度は、以下のようなかたちで調査研究を実施した。 先ず、初年度より対象事例と調査領域を拡大しつつ、国内における実態調査を進めることとし、北海道・秋田県・京都府・長野県などを対象として調査を行った。北海道は、地域教育経営の実際例の中でも、教育課程経営において比較的学校段階に柔軟性が認められていると評価されている事例が見られるため、これに注目して検討を加えた。北海道には14の教育局(本州で言うところの「教育事務所」に該当)が置かれているが、今回は、特に宗谷管内に対象を絞り込み、そこでの地域的特色と地域教育経営の実態について詳細な検討を行った。秋田県・京都府・長野県などについては、主として後期中等教育の分野に注目し、地域社会の実態変化がどのようなかたちで高校生や学校に影響を及ぼしているのか、また高校教育に対する社会的要請にはどのような変化があるのかということを中心に聞き取りを中心とする実態調査を行った。また、初年度は、NPM理論の発祥の地の一つであるイギリスの高等教育分野における理論枠組みや実施の経緯、さらにその後の実態について文献を中心に検討し、さらに中国における実施状況について実地調査を実施したが、これらの国々はもとよりさらに韓国、インドネシアなどの諸外国におけるNPMの実態についても調査対象を拡大すべく基礎的な資料の収集や文献検討を行った。
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