NPM理論の教育分野への適用・導入についてはどのような理論構成がなされているのか、また、その導入によっていかなる実態が生まれているのかを明らかにすることが必要とされている。こうした問題意識にもとづいて、研究の第三年次目にあたる本年度は、以下のようなかたちで調査研究および理論研究を実施した。 初年度・第二年度目よりさらに対象事例と調査領域を拡大しつつ、国内における実態調査を進めることとし、先ず、これまで進めてきた北海道宗谷管区、特に、稚内市に焦点を当てて、自治体レベルでの新自由主義改革の受け止めについて広範に調査した。地域教育経営の実際例の中でも、とりわけ地域的特色を活かした受け止めの実態について詳細な検討を行った。 また、新潟・福島・愛媛・大阪・宮城・東京などについては、主として教員に対する聞き取り調査を行い、主として後期中等教育の分野に注目して、地域社会の実態変化がどのようなかたちで高校生や学校に影響を及ぼしているのか、また高校教育に対する社会的要請にはどのような変化があるのか、それに対してどのような政策的受け止めや、学校における教育活動上の受け止めを中心に実態調査を行った。 初年度から、NPM理論の発祥の地の一つであるイギリスの高等教育分野における理論枠組みや実施の経緯、さらにその後の実態について文献を中心に検討してきているが、第三年度もこれに引き続いて理論的な枠組について考察を進めた。
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