1、小学校から中学校への移行に伴うギャップをどのように考えるかについては、二通りの考え方がある。ひとつは、このギャップを「障壁」と捉えて、できるだけギャップ(障壁)をなくすことで、小中の接続をスムーズにしていこうとする考え方。もう一つは、小学校と中学校の間に横たわるギャップを「成長への弾み」と捉えて、現代っ子たちの「たくましさ」を育てていこうとする考え方である。われわれには今、いわば「両にらみ」の小中連携を進めていくことが求められていることを理論的に根拠づけた。 2、「中一ギャップ」現象の背景にあるものとして、現代の学校における「心理学的な眼差し」の強まりを指摘することができる。「中一ギャップ」現象を新たな教育「間題」として取り上げ、それへの早急な対処を求める声のうち、最も大きい声は、心理臨床家の「語り」に熱心に耳を傾け、その「語り口」と「語りの文脈」を積極的に模倣しようとする人々の声である。このことを、「中一ギャップ」に言及した様々な文献を物語論的に読み解くことで明らかにした。 3、平成19年1月に、香川県下のすべての小学校と中学校の教務主任を対象に、「小中連携」の取り組みに関するアンケート調査を実施した。この調査によって、香川県における「小中連携」に関わる取り組みの現状と、これを推進する小学校と中学校の教員(教務主任)の「小中連携」に対する認識、およびその認識の微妙な差異が「中一ギャップ」の捉え方とどう関係しているのかを明らかにした。
|