1、「香川県における小中連携の取り組みに関するアンケート調査」の結果を分析することにより、小学校から中学校への移行に伴うギャップを「障壁」と捉えるのか、それとも「成長のチャンス」と捉えるのか、この両極のなかでの力点(アクセント)の置き方に、小学校の教員と中学校の教員との間に微妙な意識の違いがあることを明らかにした。この移行に伴うギャップの捉え方の微妙な違いを生み出しているのは、それぞれの教員が置かれている「教育する場」の条件と学校文化の違いである。われわれはここから、小学校教員と中学校教員が、それぞれの「教育する環境」の違いをお互いに理解し合いながら「両にらみ」の小中連携教育を推進していくことに、どういう積極的な意味があるのかを明らかにした。 2、香川県高松市内のある中学校区における小中連携教育の取り組みを事例として取り上げた。この取り組みは、地域行事において地元の小学生と中学生が連携してボランティア活動をすることで、小中学生及び地域の方々との交流を深めた活動実践である。 3、異なる学校種間の移行に伴うギャップが教育問題として浮上してきた背景として、それを眺める人々の「眼差し」の変化という要因とともに、「人間形成の自然な基盤」の崩壊という時代的社会的な要因を取り上げて分析した。
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