本研究課題は、我が国高等教育の財務・財政システム研究の一環として、国立大学(国立大学法人)と私立大学(学校法人)の財務比較分析を行うものである。 この目的のため、まず、国立大学の財務データとして、国立大学法人財務分析研究会編『国立大学の財務』および全国立大学法人が公表している「事業報告書」「業務の実績に関する報告書」を収集し、必要なデータをコンピュータに入力した。私立大学については、各大学ホームページおよび広報誌を収集したが、必要なデータが十分に公表されている状態でないので、次年度に向けてデータ提供の可否の照会を進めた。 ただし、私立大学については、日本私立学校振興・共済事業団『今日の私学財政』に詳細な集計データが掲載されているので、それにもとづく現状分析を高等教育政策ワークショップ(2006年10月)で、時系列分析を広島大学高等教育研究開発センター編『高等教育研究叢書』(2006年10月)でそれぞれ報告した。 他方、国立大学と私立大学の財務比較分析のための枠組を構築するために、現行の国立大学法人会計基準、学校法人会計基準および企業会計基準の照合作業を行い、学校法人会計基準による国立大学データの組み替え、国立大学法人会計基準による私立大学データの組み替え、企業会計方式による国立大学および私立大学データの組み替えを試行的に開始した。 以上のデータ収集作業、各会計基準の照合作業および試行的データ組み換え作業を進めることにより、19年度以降の財務比較分析に備えた。
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