研究課題/領域番号 |
18530662
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
末田 清子 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (70244829)
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研究分担者 |
永田 アデア 立教大学, 異文化コミュニケーション研究科, 教授 (40366943)
猿橋 順子 玉川大学, リベラルアーツ学部, 講師 (10407695)
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キーワード | ドメスティックバイオレンス / 支援者支援 / 言語・非言語コミュニケーション / トライアンギュレーション / 教育プログラム開発 |
研究概要 |
本年度は、ドメスティックバイオレンスサバイバーのための民間支援団体の協力を得て、支援における非言語コミュニケーションに関するグループインタビューを実施した。これらの調査により、非言語コミュニケーションの具体的な表出場面の事例を収集し、(1)非言語メッセージを介したコミュニケーションスキルは経験的に培われるものであり、気づきを高めることでスキルの向上が期待できること、(2)支援プロセスにおける相互作用の中に、支援者のアイデンティティの流動的かつ錯綜した状況があること、(3)(2)が支援への姿勢や意欲に少なからぬ影響を与えていることが確認された。 これらの調査結果に基づき、錯綜するアイデンティティの諸相を、ポジショニング理論を用いて説明することの学術的意義を見出した。この成果は「DVサバイバー支援者のアイデンティティ表出 違いを超えたコミュニケーションを目指して」と題する学会発表および学術論文で総括した(論文発行は平成20年度)。 本研究の社会的意義は、学術上の理論枠組みと知見を、よりよい支援コミュニケーションスキルの実践につなげることにある。そのためには、言語化以前の潜在的な部分への気づきを高めるワークが必要とされる。そのため、コミュニケーション学に限らず、心理学や現象学、行動科学などの隣接領域で行われている潜在意識や身体感覚へのアプローチを試みる技法のトレーニングやセミナーを受講し、本研究が想定する受講者(DVサバイバー支援者)への応用可能性を検討した。各種の手法の融合・修正・補足を通じて、独自のワークショップ開発に向けた試行的な実践を3回実施し、支援者支援プログラムの公開に向けての準備を完了しつつある。 一連のプロセスを通して、ドメスティックバイオレンスをはじめ様々な対人支援職につく人々とのつながりを形成し、ワークショップへの参加者を広く募る土壌も整いつつある。
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