研究概要 |
初年度の計画に沿って、インド連邦政府が推し進めてきた初等教育の完全実施(Universalization of Elementary Education, UEE)のための重要な政策である各州下の各県における初等教員養成(県教育研究所、District Institute of education and Training, DIETと略称する研究所が実施)の州レベルでの実状を解明するために、本研究で焦点をあてたマハラシュトラ州についての資料の収集と、研究代表者が構築してきたインドの当該分野研究者や政策担当者との討議を進め、二年度目以降の研究活動のための研究環境の整備を行った。 5〜7月には、これまでに内外の研究諸機関から収集した資料の分析と検討を進め、マハラシュトラ州の初等教員の特性を検討し、訪印のための現地当該分野研究者との連絡を取りながら本研究の目的を明確にした。 8月のインド訪問では、連邦政府に最新資料を収集し、マハラシュトラ州の州レベルの現状把握のために現地当局者との面談を行い、また、インド連邦政府が新たに実施している初等教員養成も含めた全国的なUEE実現のための方策についての情報収集に努め、最新事情の把握に成果をみた。 9月〜1月には、インド訪問で得た資料の分析・検討を行うとともに、研究成果を論文として学内紀要と学会紀要に投稿した。また、研究発表会で発表を行い国内の研究者から多くの貴重な指摘を得た。1月はじめには、インドマハラシュトラ州オスマナバード県を訪問し、当県の初等教育全般の事情を把握し、行政当局者との協力関係を築き、二年度目以降の研究活動のための研究環境整備を行った。 2月〜3月には、初年度の研究の総括・反省を行い、二年度目の研究計画をより具体的にした。 上記の活動の成果として、(1)東海大学福岡短期大学紀要第8号掲載論文"Teacher Education in India until the 1980s : An Examination of Stagnation and Expansion"(2006年度、頁1-23)と、(2)アジア教育史学会紀要アジア教育史研究第16号掲載論文「インドの初等教員養成:一九六〇年代までの養成政策への一考察」(2006年度、頁1〜18)(発刊は2007年7月)をあげ得る。また、発表活動として、(1)南アジア学会九州支部研究会における発表「インドの初等教員養成政策の展開」(2006年12月9日、於福岡大学セミナーハウス)がある。
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