最終年度の計画に沿って、本研究の課題である地域に根ざした初等教員養成(各州下の各県に設立した県教育研究所での初等教員養成)について、総面積が全インドの約9%を占めるマハラシュトラ州での政策とその進展を検討するための資料収集を継続し、また、現地の当該分野研究者との討議を深め、最終報告書作成への準備を行った。 県教育研究所は、連邦政府文部省作成の指針に基づき各州政府が設立を立案するため、連邦レベルでの統一性を保ちつつ地域の実情を活かした活動をどう展開するかが問題となる。そして、同研究所は、初等教育普遍化と質的充実を伴った初等教育に貢献する機関として近年特に注目されている。しかし現在、各州の初等教員養成カリキュラムは州レベルで作成されるため、マハラシュトラ州のように広大な面積と多様な文化を持つ州では、州内での実状に大きな差があり、県レベルでの再調査の必要性が、連邦政府レベルでの報告書でも指摘されている。今年度には、同州の現行の初等教員養成カリキュラムを入手することが出来たので、この資料の分析を今後の研究継続へと繋げるという展望も開くことが出来た。 研究活動の成果として、東海大学短期大学紀要第42号に拙稿「インドの初等教員養成:教員養成政策に関する一考察」の掲載を許可され、アジア教育史学会第17回年次大会では研究発表を行うことが出来た。
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