平成18年度は、教員養成課程に組み込む小学校英語活動関連のプログラム作成の基盤作りに取り組んだ。その内容は大きく以下の4つに分類される。 1.初等教育における外国語教育の理論的組みの作成 英語活動を長期的な展望でとらえるとき、コミュニケーション能力や子どもの言語習得過程などについての明瞭な定義づけや共通認識と、それらを遂行する際に求められる教員養成の理念・具体案が必要となる。これらの点を網羅した文献研究を、コミュニケーション能力、Communicative Language Teaching (CLT)、子どもの学習過程、の3方向から実施した。その際には、日本の英語教育が従来抱えていた問題と照らし合わせ、理論を実践に移すための教員養成について常に触れながら進めた。この成果の一部については、平成19年4月に国際学会(International Studies for Language Studies 2007)にて発表し、その後論文として投稿予定である。 2.初等教育における言語教育に関する先進国の事例収集 以前から継続していたアメリカ合衆国の小学校における子どもの言語活動の観察に加え、小学校における外国語教育の先進国であるオーストラリアにおいて、実際の外国語(LOTE : Languages Other Than English)授業の参観、さらには言語政策、多文化教育についてオーストラリアの大学教員らから講義を受けた。日本の小学校英語活動において課題のひとつとなっている評価基準、方法については特に大きな示唆を得ることができた。 3.英語活動の教育実習としての出張授業の継続 小学校現場における実習体験として、平成18年度も英語活動の出張授業をのべ15時数実施し、参加学生ものべ34名にのぼった。平成19年度はさらに長期的なプログラム等の計画を進める予定である。 4.現職小学校教員向けのセミナーの実施 小学校教員向けのセミナーを2回実施し、参加者間の情報交換がセミナー後も継続できるようなネットワーク作りを続けた。小学校教員との密接な協力関係は、学生の教育実習システムを支える重要な基盤になると考える。
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