本実績報告書は、平成18年〜20年度科学研究費補助金基盤研究(C)における3年次計画の第1年次のものであり、以下のような研究活動を実施し実現することができた。 第1に、造形美術教育における現状の把握と問題点や課題を明らかにし検討することに着手した。まず、山形県造形教育連盟の研究部長会が中心になって、造形美術を担当する教師・保育士を対象に実施した実態調査結果からの考察を試みた。その考察からの研究成果については、山形大学紀要(教育科学)第14巻第2号にて、「教育現場における造形美術教育の実態と課題-山形県造形教育連盟実態調査からの考察-」でまとめることができた。 第2に、実践的な研究対象として、学校教育現場における造形美術教育の実際の授業の記録に着目した。実際に小学校における「図画工作」や中学における「美術」の授業を観察し、VTRに記録することで、客観的に指導方法を考察することができると考えた。具体的には、山形大学教育学部附属小学校及び中学校、お茶の水女子大学附属小学校及び中学校さらには、山形市立第九中学校、第四中学校、第六小学校の各学校の図工・美術担当教師の協力を得て実施することができた。最終的には、実践事例のデータベース化の貴重な資料となった。 第3に、平成18年度には、第45回大学美術教育学会新潟大会にて、課題研究発表題目「造形美術教育におけるカリキュラムの実践的研究-学校種間を貫く教科カリキュラムガイドの模索-」で研究成果を発表することができた。また、第29回美術科教育学会金沢大会においては、「教員研修システムの要件-造形美術教育におけるコンテンツ-」の題目で、口頭発表することができた。その際には、現時点における我が国の全ての都道府県の教育委員会、教育センター、教員研修センターのインターネット上のコンテンツについて検討した。この研究の成果を踏まえて、第2年次の研究へと生かしていきたい。
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