研究概要 |
AD/HDの児童生徒を対象とした教育相談を実施する中で,漢字の書字行動の獲得をめざした指導を進めてきた。この教育相談は研究実施計画に基づき,実験参加者及び家族の理解と同意を得るとともに,個人の情報やプライバシーが流失しないよう,資料の保存・管理はもちろん,実験に協力者として参加した学生にも事前指導・事後指導を十分に行った。また,あわせて,個別式「e-支援」システムで稼働させるコンテンツを作成するため,漢字の書字行動を獲得させるための指導法と英単語のスペリングを高めるための指導法の開発を行ってきた。スペリングのための指導法開発では,先行研究に基づきスペリングのモデルを活用すること,フェイディング法を併用することについて,さらに研究と実践を進め,これについては新年度に学会報告を行っていく予定である。これらの指導法の検討を行っていく過程で,AD/HDの児童生徒が困難を示しやすい課題が,書字行動の獲得を阻害する認知要因の一部として考えられることが指摘されたが,この結果をさらに明らかにするために分析的な事例を積み重ねて行動的翻訳を試みている。また,今年度は従来開発してきた漢字の書字指導,読字指導のためのソフトウエアを個別式「e-支援」システムで稼働させられるようさらに改良を重ねて研究を行ってきた。これらの研究に関しては,国際行動分析学会のシンポジウムにおいて話題提供するとともに,「ADHDのある子どもへの漢字の書字指導-コンピュータを用いた支援法の開発と個別式e-ラーニングの可能性-」として成果の一部を発表した。
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