[研究の目的] 平成19年度は、保健室登校児を取り巻く人間関係に注視し、芸術教科としての問題解決の糸口を探ろうとした。具体的には、以下の3点について明らかにしようとしたものである。 1)保健室登校児との関わりを通して、教員志望の学生の意識を変えることは可能か 2)保健室登校児の親との交流はどのような形で行われるべきか 3)保健室登校児の親が変わるということはどのような意味をもつか [研究方法] 芸術療法の授業を通して、保健室登校児の実態を明らかにし、芸術療法の諸技法を実践。また、保健室登校児の親との交流を定期的に図った。さらには、不登校児、保健室登校児をこどもにもつ親と学生との交流会、作品鑑賞会を開催した。 [研究結果] 芸術至上主義、技術至上主義になりがちな芸術科、普楽科の学生に対し、心を閉ざしがちな子どもに対する意識改革は成功した。インターネットを利用した交流は、インターネット犯罪が多発したため、警戒心が強まり保健室登校児、その親との交流は難しかった。しかし、山梨県にある不登校児を子どもに持つ親たちの会(ぶどうの会)との定期的な交流は芸術教科に携わる教師に対し多くの示唆を与えるものであった。 [今後の課題] 教員の異動に対応できる保健室登校児の支援体制の構築、義務教育ではない高等学校における保健室登校児に対するケアのあり方、また、真に心を病む保健室登校児といわゆる怠学児童・生徒の識別。
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