研究課題/領域番号 |
18530696
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
伊藤 隆司 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (50159886)
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研究分担者 |
丹保 健一 三重大学, 教育学部, 教授 (40115712)
余 健 三重大学, 教育学部, 准教授 (90345968)
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キーワード | タバル / 語源 / 意味変化 / 作文教材 / ビデオ教材 / 文集 |
研究概要 |
1.これまでの熊野市市街地、飛鳥町、紀和町の高年層における方言調査の結果の中で、信仰の地、熊野らしさを最も体現している「タバル」(いただく)関係の語彙に焦点を当て、小学校の授業で活用可能なビデオ教材を2編作成した。8世紀頃の使用例にまで遡れるこの「タバル」は、「たまわる」から派生した「タバワル」が語源と考えられ、熊野においては、元来「お月見の夜に神様から供物をいただく」という神仏語彙の中でも用法が限定された敬意の高い形式であった。そこから、神仏用語の意味範囲の中で、「お月見に子供達が家々を回って供物をもらい歩く行事名」や「普段の神仏より供物をいただくこと」に意味を変化・拡張させつつ、敬意を低減させていった。更には、神仏用語以外の「お手玉を受けること」にも意味を拡張させ、益々敬意を低減させた後、現在の熊野の若年層では、完全に敬意を失った上記行事名としての「タバラシテ」のみを使用している。2.この方言調査に基づく意味変化の流れが伝わるようなビデオ教材2編を鈴木幹夫先生(熊野市立入鹿小学校)が使用し、5、6年生を対象に、作文教材と組み合わせて授業をおこなった。その授業では、子供達の価値観を揺さぶることができ、我々も国語教育における作文教材と方言調査に基づくビデオ教材の有機的な組み合わせ方について多くの示唆を得ることができた。3.熊野市立飛鳥小学校の学校文集を分析に、教材化にむけた分析作業をすすめた。4.以上の成果にもとづき、報告集(A4判65頁)を作成するとともに、報告集を地域に還元した。
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