平成20年度では、本研究の目的を踏まえて次のように研究を推進した。昨年度の和文化関連教育の授業自薦リソースに関する情報と資料の収集を継続的に実施した。特に、国立教育政策研究所の「我が国の伝統文化を尊重する教育に関する実践モデル事業」の授業実践の観察と記録のために、京都、東京、静岡、広島、石川などにおける和文化関連教育の実践校を訪問し、授業記録と資料収集を行った。なお、東広島市における伝統文化に関する教育の取組については、市教育委員会の協力を得て全国大会を実施した。この大会においては市内の幼小中の学校園50校が、各学校園において実践している伝統文化(和文化)に関する教育実践をパネルで発表した。それらの中からモデル推進校は、授業公開を実施した。さらに、「伝統文化に関する教育の動向と意義」というパネルディスカッションを行った。パネラーとしては文部科学省・東京都教育委員会・東広島市のモデル推進校の関係者の協力を得た。そして、和文化関連教育を推進していく上での課題として次の3事項が明確にされた。(1)和文化関連教育を教科の学習指導との関連でどのように指導をするのか。(2)和文化関連教育の学習指導において体験活動と学習内容としての知識をどのように関連づけるのか。(3)和文化関連教育と学習者の学力形成はどのように関連するのか。 外国における和文化関連教育については中国の華東師範大学の教育課程と教学研究所の協力を得て、上海と景徳鎮における伝統文化教育を推進している幼稚園・小学校・中学校・高校・大学におけるカリキュラムと授業について調査した。これらの研究成果については、国内外の研究誌、報告書、月刊誌などを公表し、高い評価を得ている。また、本研究の最終年度であるので、報告書「文化創造としての和文化教育の構築と教材開発」を刊行した。さらに、研究成果を編著として平成21年度内に出版することになっている。
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