美術教育における小・中連携体制を構築させるための基礎研究を行い、教師教育プログラムに反映させようとし、本年度研究を開始した。本年度は、以下の課題のうち、主に、課題1、2について研究を進めた。 <課題1>美術教育行政における連携教育の姿勢の変遷を、文部科学省、各種審議会、学習指導要領、教科調査官などの出版物や文部科学省研究推進校の実践の中から見いだし、整理した。また、美術教育実践に関する民間教育団体、研究サークルなどの出版物から、連携教育に関する言説や教育実践を取り出すとともに、連携教育を実践する現役教師のもとに出張し、面接調査・授業観察を行い、文部科学省研究推進校の実践とあわせて、整理した。 さらに、比較文化的な視点から、幼児から大学教育までの統合的な美術教育研究組織をもつアメリカ合衆国カリフォルニア州チコ市の事情を視察した。このほか、美術教育界の課題である小学校「造形遊び-材料などをもとにした楽しい造形活動」について、小・中学校の教師の意見を"収集"しようと、美術科教育学会第12回西地区会(テーマ:"三十歳"目前の「造形遊び」を磨く-Do(行為)、現在性、出会いと陶冶、小・中連携、図画工作・美術教育政策)を開催した。 <課題2>研究代表者は、研究協力者(小・中学校の現役教師)を中心とした研究サークルを設け、この場において、上記<課題1>の成果をふまえ、小・中連携教育構築のための討議、図画工作・美術科<単元・題材>開発を行い、各勤務校において、その実践・検証を行った。研究代表者は、大学の場において、教材・教具作成の支援を担った。描画活動、「造形遊び」、鑑賞活動などについて、検討した。 <課題3>上記の成果をふまえ、学部、大学院、現職教員研修向けのプログラムの構想に着手した。大学授業や現職教員研修で一部試行した。
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