研究概要 |
美術教育における小中連携体制を構築させるための基礎研究を行い,教師教育プログラムに反映させようとし,以下の3つの課題を設定して,研究を進めた。 <課題1>教育行政における連携美術教育の姿勢と民間教育団体の連携美術教育に関する言説や教育実践とをあわせて,整理・考察した。先行実践校では,子どもの学年が上がるにつれ自尊感情や学習意欲の低下があることへの危機意識が根底にあり、従来の6-3システムではなく,4-3-2システムや3-42システムなど新たな枠組みが試行されていた。小学校高学年と中学校の連続性の課題が浮き彫りになった。 <課題2>研究代表者は,研究協力者(小中高校の現役教師)を中心とした研究サークルを設け,この場において,上記〈課題1〉の成果をふまえ,連携教育構築のための討議,図画工作・美術科〈単元・題材〉開発を行い,各勤務校において,その実践・検証を行った。研究協力者は、小学校「造形遊び」の中学校での活かし方を工夫したり,中学校において「表現することの意味」について洞察する題材配列を構想・実施した。また,全国図画工作・美術教育全国大会において、小中連携を意識した浮世絵鑑賞に関する実験的な授業を行った。これらの検討と反省は,連携教育の基盤形成となった。研究代表者は,大学の場において,教材・教具作成の支援を担ったが、特に,鑑賞教材の充実をはかった。 <課題3>上記の成果をふまえ,学部、大学院,現職教員研修向けのプログラムを構想し、プレ教師教育としての大学授業や現職教員研修で実施した。 以上の成果は,第32回InSEA国際美術教育学会(日本,大阪),第31回美術科教育学会(佐賀大学)などで、口頭発表及び誌上発表したほか、3年間の成果をまとめた『研究成果報告書』を刊行した。
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