平成18年9月と同19年3月の2回、プランゲ文庫に現地調査を実施した。国語教科書・国語副読本・国語参考書・国語問題集・教師用指導書などについて、その表紙・目次、奥付、それに内容の一部をデジタルカメラで撮影した。資料破損防止のため電子複写がほとんど許されていないためである。この作業は、3年目(最終年度)に作成しようとしている目録作り(解題・解説を含む予定)のための基盤をなすものである。 またこれらの資料の蔵書状況を国内の図書館(国立国会図書館・国際児童図書館・大学図書館等)で検索したところ、ほとんどのものが未所蔵であることが分かっている。こうしたことから、国内資料だけで研究を展開した場合、これらの資料の存在に気づかず、果てはこれらの資料が無かったものとして研究することにもなりかねない。近辺に資料が見いだせない時、非存在として判断してしまう危険性がここにもあり得るのである。 なおこの間、本作業と平行して、メリーランド大学図書館によって教育図書目録が作成されたり、国立国会図書館によってこれらの資料の一部デジタル化のプロジェクトが進行したりしている。こうした各方面からのこれらの資料に対する着目は、これらの資料が、戦後初期のサブカルチャーとして、また教育(とりわけ国語学習)の周辺資料として資料性の高いことを奇しくも物語っていると見て良かろう。 この調査は現段階では未完であり、来年度以降に引き継がれるものである。
|